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企業研究

9.時代はトンからグラムへ進む。この軽薄短小の時代に逆行?

■「かさばる紙は儲からない」。この業界の定説を覆した逆転の発想

●紙は大いにかさばる。いかにかさばるかを数値で検証してみよう。
 トイレットペーパーをトラックで輸送する場合、トラック1台あたりの数値をみれば分かりやすい。トイレットペーパートラック1台を、通常の販売価格に換算すると46.4万円である。これに対しグラム単価が高いビデオテープは、なんと330万円であり7倍の差がある。CD−Rなら軽く500万円を超えるのだから、いかに紙がかさばり儲からないか想像できるだろう。
 さらに、トイレットペーパー1袋(一般にロールが8〜12本入)の販売価格は290円。この1袋のトラック輸送コストは3円36銭である。同程度の販売価格である1本330円のビデオテープは、輸送コストわずか54銭。6分の1の金額なのだ。
●製造業・流通業を問わず、薄くて・軽くて・短くて・小さいもの(軽薄短小)は儲かる、という時代が高度経済成長期以来、バブル景気の時代まで延々と進んできた。
 ところが、関株式会社は時代に逆行していたのだからおもしろい。
 戦後の日本経済は重厚長大だった。鉄を中心に日本経済は成長してきた。次に、電化が進んだ高度経済成長の時代に、家電製品に経済の主役が移り、そして現在は電子である。
 半導体、そしてついには重さを測れないソフトの時代へ突き進んでいる。
●ここに大きな落とし穴があった。誰も見向きもしない「かさばる紙」は、どんな不況がこようとも消費が落ち込むことはなかった。
 まさに、定番中の定番商品である。グラム単価どころか、トン単価でしか測れない「紙で利益を出そう」。この逆転の発想が、関株式会社の武器である。
●誰もが手を着けようとしないから意外と手つかずで、改善の余地が数多くある。この改善への着手は、他社が取り組まないから時間的猶予が十分あった。激烈な競争や、勝敗を決する目が回るようなスピード、とはやや縁遠いものであったから妙である。
●しかし、気づいた後のスピードは早い。

■また、客寄せの特売品は損して「他で儲ける」。この定説も覆した

●いわゆる客寄せのための特売商品というものがある。他店と比較し30%OFF、半額セールというやつだ。
 ロス・リーダーとも呼ばれ、たとえ損をしても、多くの来店者を勝ち取れば他の商品も売れることをねらった超目玉商品である。
●しかし、この特売品でもし利益が出るならば、店側の支持を得ること間違いない。
 というわけだが、売れ筋商品を追いかけるのが関の山で、誰もそんな苦労をわざわざ買って出る同業はいなかった。挙げ句の果てに、この特売品の主役は「かさばる紙」である。
●トイレットペーパーの特売は、定番商品であるだけに消費者の支持は高く、店側が好んでロス・リーダーに指名する。
 そのために、通常の配送体制を変更し、嫌がる社員に無理強いをしなければならない。これが、これまでの卸業界の定説であった。
 関株式会社の社員は、当然知っていることである。だから、やりたくなるのだから面白い。同業他社の社員は嫌がるが、ここでは社員の方からやろうというのである。顧客が求めることに背を向けられないのだ。
●この発想から、新しい戦略が生まれた。

■社員が配送できなければ、運送業者に委託しろ。大きな知恵・物流システムが始動

● 我々が配送をおこなうのは、現場主義に基づいた発想を絶ってはならない。机上で考えたことでそう簡単に利益を生んだり、顧客を満足させるはずはない、という考え方である。
 しかし、我々は運送業ではない。状況により、運送業者に委託する臨機応変なシステムを構築するのが正道であると判断した。四国のヘソの位置にある伊予三島を拠点に強力な物流システムを構築し、大幅なコストダウンに成功。大きな知恵の久々の快挙だった。
●物流は1銭・2銭の違いで、100万・1,000万円の差を生み出す「大きな知恵」である。
 ここで紹介した例は、誰にでも考えられそうに思われるかも知れない。しかし、このような実践例は業界ではあまりみられない。それだけ大きな力仕事で、勇気が必要なのだ。
●この他にもいくつか物流システムを革命的に変革する「大きな知恵」があるのだが、企業秘密に属するものだけに、紹介できないのが残念だ。
 関株式会社に入社して数年経てば、その秘密が明らかになるだろう。