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企業研究

3.求めに誠心誠意尽くす商人。その姿勢と人材戦略

■1973年トイレットペーパー事件。試されたのは商人の姿勢であった

●「誠心誠意求めに応ずる」商人の姿勢を、鋭く問うこととなった1973年のオイルショック。  中東戦争を契機にはじまり、世界中を震撼させたアラブのオイルショックは意図的に石油産出を減少させ価格高騰をねらったものであった。オイル不足と値段の高騰は世界中にひろがり、日本においてもガソリンスタンドの在庫はカラとなる。狂乱した人々は、買い占めに走りさらに在庫が減り底をついてしまう悪循環となる。
●風が吹けば桶屋が儲かるようなもので、悪どい企業は、オイルとは無縁な商品まで在庫不足を装い意図的な値上がりをおこなう始末。社会不安を利用した悪徳商法である。
 オイルとは無縁なトイレットペーパーを、スーパーマーケットで奪うように買い占める狂乱した主婦の姿が、いまだに関株式会社の目に焼きついている。
 このような商法は今にはじまったことではなく、古今東西どこにでもあることだ。しかし、いずれ価格は正常に戻るものである。在庫も正常に戻ることは、これまでの歴史が証明している。戦禍や地震など災害時において一時的に発生する麻疹のようなものである。数年前の阪神大震災の際も同様だ。
●正常に考えれば、これまで培ってきた地域との信頼関係、また今後営々と保ち続けなければならないこの関係を、一時的な利益で失うことは大きな損失である。
 このような冷静な判断を狂わせるほどの大混乱の中にあるからこそ、企業理念が本物であるのか、本当に実践できるのか。また「誠心誠意、真摯に相手の求めに応ずるのか」という商人の低い姿勢が鋭く問われるのである。
●多くの企業は、目の前のうまみに目を奪われ理性を失ったのである。そして、信用も失った。

■果たして、このような冷静な判断を永続的に保持することができるだろうか

●目の前の利益に目を奪われることなく、ずっと先を見据える。  関株式会社の先達たちは、このようなしっかりと地域に深く根ざした広い視野を持っていた。しかし、彼らも老い新しい時代に向け世代交代をおこなわなければならない。
 先達たちの高い資質と商人としてのモラルは、果たして次代にバトンタッチされるのだろうか。次の大きな壁である。県外進出・岡山への進出においても人材は必要である。しかし、最も問題なのはこの理念の継承であるこの難問は、先達たちの頭を悩ませた。
●1973年、本社を現在の場所に移転した。その後各部門を順次移転させ、1980年代になって関株式会社の現在の体制は整ったといえる。
 ここからが勝負どころであった。人材を入れる器が整ったのだから。いよいよリクルート活動の開始となる。
 人材戦略は、遠くの出来事のために今何をすべきか、希薄な意識の元での難儀な作業である。目の前の、目に見えて動く物流。目に見えて生み出される利益とは大きく違う。
 それだけ人材戦略とリクルート活動は、企業理念の真偽と実践力を鋭くつく魔物である。10年後、いや20年後に勝敗を決する、目に見えない「仕掛け」づくりであるからだ。
●オイルショックで得た教訓と先達たちの高い資質。そして「目の前の利益に目を奪われることなく、ずっと先を見据える」商人の真摯な姿勢が、やがて人材戦略始動のボタンを静かに押すこととなった。
 そして、20年後の今この関株式会社がある。

■目に見えない仕掛け作り「人材戦略」の成否は。答えは、関株式会社の拡大に象徴される

●人材戦略とリクルート活動は、必ずしも順調ではなかった。卓越した先達たちの資質はそれほど高く、簡単に継承できるものではなかった。しかし、競合相手も同様に人材で苦しんでいるはずである、一歩リードした者が必ず顧客の信任を得るはずだ。
●答えはこうである。1983年香川県の拠点、琴平出張所を営業所に拡充・昇格。そして1996年同営業所をさらに拡充し、坂出支店として新築。すでに瀬戸大橋は開通しており、待ってはいられない。
 しかし、考えてみれば瀬戸大橋開通で四国の流通業界は壊滅するのでは、という20年前の警鐘は何だったのかと思わせてしまうほど静かである。
●じつは、ここに答えがあるのだ。度重なる拠点の拡充を支えたのは人材。そして、顧客の信任を勝ち取ったからこその拡充である。