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企業研究

11.小さな知恵・商流がさらに。棚パワーの不思議な技

■行司役としての第三者。低価格化を実現する棚パワーの実態

●卸売業不要論を論破しよう。東の横綱を小売店とする。片や、メーカーが西の横綱だ。観客は、消費者。そして行司役が我々卸売業者である。
●一般に商品は市場に出してみなければ売れるのかどうかがわからない。各メーカーは売れる商品づくりに日々格闘しているが、商品開発に失敗すると在庫の山を抱え命取りになる。ついには、他商品にコストアップ圧力や転嫁され、消費者に負担をかける。
 片や、小売店側は売れない商品を抱えると、これも在庫の山で見切り処分することになり大きな損である。これも、他の商品の販売価格に転嫁され、消費者に負担をかける。
●双方、必死である。メーカーと小売側は、日々協調と対立を繰り返す。土俵の上は格闘する修羅場である訳だ。
 じつは消費者は、店(競技場)に入るだけではなく商品が陳列された棚(土俵)を目の前にしている。その姿をイメージして欲しい。価格アップを客が喜ぶはずがない。
●さて、陳列棚に商品が置かれるのかどうかは、メーカーにとって死活問題である。陳列されなければ一つも売れない。
 片や小売店側。売れない商品が棚の前面に陳列され、売れる商品が陰に隠れてしまって売上は激減。消費者にも不評を買ってしまう。
 この程度の問題であれば、売れない商品は排除されそのメーカー側の自滅負けとなる。
●ところが、問題はそれ以上に複雑だ。売れ筋商品ばかりが競り合う状況となれば、小売側は困惑、メーカー側の技ありとなるからだ。
 半年ごとの陳列棚のレイアウトの見直し。また季節商品ならば3カ月ごととなる。その棚の商品レイアウトを決める際、卸売側が提案する仕切り(行司采配)が、格闘する両者の調整役となるからおもしろい。
●さて、ここで棚パワーの登場である。

■学生のみなさんに見せてあげたい棚パワー。残念だが誌上紹介に留めなければならない

●威張り散らす「売れ筋商品」。我が物顔のもう一つの「売れ筋商品」。そして、店側のコンセプトやイメージを象徴する商品やロスリーダーなど、賑やかでやかましく主張する。
 商品を並べては考え、また並べ直す。このような作業を実際に棚の前でおこなうのは時間のロスであり、肉体的な負担も大きい。
 長勝負の果てに、水入りとなるのもうなずける話だ。
●そこで開発されたのが「棚パワー」と称されるコンピュータのシミュレーション・システムである。すでに普及して数年経つが、このシステムを関株式会社が見逃すはずがない。
 ぜひ、ここで実際の画面をお見せしたいところだが、企業秘密に触れることもあり活字での紹介に留めたい(会社訪問の際にお見せできることもあるが…)。
●この棚パワーでは、陳列の仕方次第で売上金額や利益状況が明示されるから面白さが倍増する。
 面白いとは少々不遜な表現だが、棚の前での陳列作業と同時に、電卓をたたくという前近代的な肉体労働から解放されるから爽快な気分となり愉快である。
●では、行司役の棚パワーが勝敗を左右してしまうのかといえば、そうではない。

■コンピュータもしょせん道具に過ぎない。関株式会社の小さな知恵・商流が行司役を果たす

●小売側・メーカー側、両者が納得する棚(土俵)が完成しても、勝敗の結果は半年後だ。
 しかも、その半年の過程はそう単純ではない。メーカー側が起こす外野でのアクション(テレビコマーシャル等)。小売側が仕掛ける特売チラシなどのアクション。技と技の大勝負が繰り広げられるのである。陳列の方法で勝敗を決する訳ではない複雑さがある。
●加えて、棚パワーもしょせん道具の一つに過ぎない。客層や立地条件、動線(店内の客の流れ)によって、それぞれ店ごとの条件があまりにも違いすぎる。この条件設定次第で答えがくるくる変わるのだから複雑だ。
●ここで、卸売業者としての商流・小さな知恵が発揮され、采配を振るうのである。
 これまで関株式会社に培われてきた情報、そして知恵や勘を元にインプットされた条件設定で、棚パワーシステムが威力を発揮する。第三者的の立場だからこそ冷静に提案でき、相互信頼関係で棚割りが成立するのである。
●ここで特筆すべきことがある。メーカー側の四国地区担当の営業マンはわずかな数しか配置されていない。数人の営業マンが四国全域の店舗をカバーするのは不可能に近い。
●ここに地域に密着した卸売業の存在価値がある。卸売業不要論を排除するのはたやすい。