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企業研究

7.1973年、評価を高めた事業部制。威力を発揮した権限委譲

■事業の拡大戦略にとって権限委譲は必然であった。つばぜり合いの現場で瞬時に決着

●通常、新たな顧客や仕入先との取引には、上部機関の決裁を受けるものだ。
 それにはいくつかの理由がある。たとえば、先方の信用度やその取引によりどれだけ利益を生むのかを、上部機関がチェックし取引の決裁をするのである。
 しかし、事業部制を導入した関株式会社には、細かい経費換算が各部で算出可能なシステムがある。配送車1台の1日の経費まで事細かくはじき出すことができる。取引判断の基礎デ−タがそろっているのだ。上部機関にではなく現場にあるのだ。
●つまり、企業経営の根本にかかわる機能が各部門にあるからこそ、権限委譲が成立する。
 この決裁権限で即断即決の迅速な営業展開が可能となる。
多くの仕入先を確保し、豊富な商品をそろえ、多くの顧客を短期間で得ることができた。当社の即断即決機能が高く評価されたのだ。評価したのは、顧客の小売店であり、仕入先のメーカーである。
●四国に関株式会社がある、と業界でささやかれはじめたのはこの頃だった。当然、同業他社には疎まれる。しかし、勝負は既についていた。一朝一夕に、このようなシステムは導入できない。導入したとしても稼働はしない。現場の力により支えられるこのシステムは、粘り強い努力と強い意志、そして優れた人材によって、企業風土として定着するものである。
●その差を見せつけた事件が起こった。

■1時間ごと在庫の量が変化し、おまけに単価が急上昇する。即断即決を迫られた事件

●昭和48年(1973年)のことだった。オイルショックによるパニックが発生した。
 日用品の買い占めに走る主婦。とりわけ象徴的なのは、トイレットペーパーであった。関株式会社の主力商品だ。
●朝卸したばかりの山と積んだトイレットペーパーが数分で空になる。
 この狂乱したスーパーの売場を目にして、店側の担当とのつばぜり合い。本部の在庫状況の確認、値決め。分秒単位で判断をせかす店側。
 判断はこうだった。「これまでの価格で、在庫の限り卸しましょう」
 完全に赤字だった。巷では、在庫を隠し値上がりを待って徐々に卸す悪徳業者が、さらに品不足と値上がりに拍車をかけていたのだ。
●分秒単位で判断を下すことが顧客や仕入先から要求された時、この事業部制の根幹をなす権限委譲の機能が威力を発揮したのだ。関株式会社は、その後大きな飛躍を遂げた。

■コンピュータの登場。経営感覚を醸成した社員、戦略をスポーツする時代へ突入

●成果主義。スポーツ界同様、関株式会社は戦うプレーヤーのグラウンドだ。  事業部制は、より細かな経費換算を末端の社員にまで意識させる機能がある。またそうしなければ正確なデ−タが出ない。この訓練に近い作業は、社員の意識を変革させ経営に参加させるチャンスとなる。
●社員が出したデ−タが積み重ねられ、コンピュ−タから各セクションや部門全体の利益状況がはじき出される。この経営デ−タを社員に公開することによって、社員の意識が一変するのである。
 自分がどれほど組織に貢献しているかが、手に取るようにわかるからだ。社員のコスト意識の向上とやる気を一層喚起させるのだ。
●次に、戦略的思考の形成だ。一般に、自分が乗った船がどこへ向かっているのかわからなく、いつ目的地に着くかもわからない状況では、いま何をしてよいのか判断不能となる。 また、どのような状況でボ−ルをパスするべきか、フォ−メ−ション図で確認できるシステムがなければ、無駄なパスを繰り返す。
●そこで、ひんぱんに会議をおこない、戦略目標と各個人の位置をたえず確認する。競技スポ−ツのミ−ティングのように、フォ−メ−ション図や展開図を広げ、裏づけデ−タをつきあわせるやり方だ。
 デ−タは品目別・担当別など非常に細かく毎月抽出する。目的とするデ−タの抽出が可能なシステムも、事業部制の導入で完備している。これで、一つひとつの商品の利益状況が把握でき、いまどの商品を優先しなければならないか、一社員においても判断可能なデ−タとなっている。
 各セクション・各個人の計画と進行状況が把握でき、セクション内で、また、部門内で自分がどういう役割をになったかが確認できる。
●これは、人間の存在感にかかわるもので、やる気を起こさせるシステムだ。